西村画廊では3月15日(火曜)より4月2日(土曜)まで「町田久美展<à
Sade -サドに>を開催致します。
町田久美は1970年群馬県高崎市に生まれ、1994年に多摩美術大学絵画科日本画専攻を卒業しました。昨年は当画廊で伝統的な日本画の素材を使いつつも新しい絵画の在り方を提案する二人の画家の新作展として「日本画2人展−町田久美・中村ケンゴ」に出品しました。>>町田久美プロフィール
町田久美は、雲肌麻紙に墨、岩絵具などの日本画の素材を用いて、キューピー人形やおかっぱ頭の子供など昔懐かしい日本的なモチーフを、現代的な歪みや不安の漂う中に描き出します。作品にあらわれる独特の精緻な筆線は、墨で描いた細い線を幾度も重ねるというストイックな作業から生まれたものです。作家のこうした職人的な制作過程は一見無機質な画中にひそかな情熱を加えています。決してはみ出すことのない線に凝縮した、新しさと古さ、冷たさと熱さが混沌とした不思議な世界が町田の作品の魅力と言えます。なお、町田は「VOCA展2005」にも出品致します。
西村画廊では初の個展となるこの度の展覧会では、昨年平凡社より刊行されたホラー・ドラコニア少女小説集成シリーズの第三巻『淫蕩学校』(マルキ・ド・サド原作、澁澤龍彦訳)の挿画18点と新作10数点を展示します。
小説はシャルル・ペローの童話『青髭』で有名なジル・ド・レェ伝説にも通じる快楽享楽者をサドが描写したもので、町田久美は自身のスタイルを守り続けながらもこの猥雑で華麗な文章に新しい解釈を付け加えました。腕のない機械仕掛けの子供や百合の花をむさぼる頭に包帯を巻いた人物などの描き下ろし作品は、ストーリーを忠実に追うことを超越し、原作からイメージを膨らませた町田が独自の世界観でサドの小説を再現したものです。カオス、猥雑さ、偏執狂的な性質などが放つ圧倒的なパワーを、雲肌麻紙の美しい表面に静かに押し込めた作品にご期待下さい。 |