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樋口佳絵 「24℃」
HIGUCHI KAE 

2005年6月21日(火)−7月9日(土) 西村画廊




「24℃」 2005年
パネルにテンペラ、油彩 130 x 130 cm

 

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この度西村画廊では、仙台在住の新人、樋口佳絵の第1回個展「24℃」を開催致します。>>樋口佳絵プロフィール

樋口佳絵は1975年仙台に生まれ、1997年に東北生活文化大学を卒業しました。学生時代は主に版画作品を中心に制作してきましたが、卒業後活動を続ける中でテンペラの白さや質感に惹かれて独学で学び、テンペラと油彩の混合技法という現在のスタイルを確立していきます。2002年には宮城県美術館で公開制作を行い、2003年以降は仙台の画廊やカフェで個展を開催、記憶の奥底に横たわるとらえどころのない場面を白いヴェ−ルをかけたような繊細な画面に描いた作品を発表してきました。今年の春には東北・北海道在住の若手作家を紹介するシリーズ企画で取り上げられ、「N.E. blood 21 樋口佳絵展」(リアス・アーク美術館、気仙沼)を開催し、確実な足取りで活動の幅を広げています。

樋口の作品に多く描かれる、小さな目とぽっかりと穴を空けたような口をもつ少年・少女たちは、心地よい光と甘美さを感じさせるテンペラ特有の色彩の中で、物思いに耽っているように見えます。樋口はこうしたモチーフを通じて、ある時ふと思い出した記憶の中のひととき、またはその空気感など、儚く壊れやすいものやとらえどころのない気持ちを見事に描きだします。

この度の個展では、樋口独自のテンペラと油彩の混合技法による絵画作品を10数点展示致します。「薄ぼんやりと頭の上の方を覆っている」と樋口が述べる気持ちと丁寧に向かい合い、独特の世界観で表現した作品には、私的な思い出にとどまらず、誰もが共有出来る心象風景が描き出されます。プールにつかる水泳帽の少年たちがプールサイドの蟻に気をとられる、そんな何気ない一瞬を白く霞んだ優しい色彩の奥に描き込んだ「24℃」など、どこか懐かしくて心温まる作品にどうぞご期待下さい。