「Magenta and Green」
2002, screenprint on paper
109 x 75 cm, ed.75
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色彩とかたちが相互に主張する「揺らぎ」で構成されたブリジット・ライリーの作品は、観る者にめまいや視覚的なイリュージョンを呼び起こしますが、同時にしばしば光や音楽を引き合いに出されるように、視覚に限らずより全体的な感覚に訴えるものでもあります。白黒、2、3の色の取り合わせ、多様な色彩群、あるいは楕円、三角形、直線、曲線と構成要素は変化し続けてきましたが、完璧なバランスが作り出すリズムや明確な構造におけるコントラストは一貫して守られてきました。作家の私的な体験からもたらされた様々な感覚が昇華された純度の高い画面は「画面の奥にあるものを感じてほしい」とライリーが述べるように、緻密な計算や理論を越えた情緒的、詩的世界へと誘います。
西村画廊では第3回目となる今回の個展では、波線とそれを斜めに横切る直線によって生まれる不定形なかたちに鮮やかな色彩を与えた2000年から2003年までの近作シルクスクリーン版画とグワッシュによるドローイングを展示します。隣り合う色彩がつくりだすバイブレーションが、心地よさや喧噪といった「ある時ある場所に存在した空気」を表現するブリジット・ライリーの作品にご期待下さい。 |
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