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押江千衣子新作絵画展「旅の空」

OSHIE Chieko -traveler's file-

3月4日(火)〜3月29日(土) 2003年

"tidal flats" 2002

oil on canvas 90.9 x 90.9cm

押江千衣子の第3回目の新作展「旅の空」を開催します。大画面に植物をダイナミックに描いてきた押江千衣子が、今大きな変化を遂げつつあります。今回の個展のモチーフは、全て風景です。

茎の伸びかたや葉の色かたち、花びらのありさま等、さまざまな植物の佇まいを、押江は大胆な余白と共に描いてきました。実物よりもはるかに大きくクローズアップされていながらも、植物そのものの息吹やにおいまでもが伝わってくるようなその作風は高い評価を得、2001年にはタカシマヤ美術賞、VOCA賞、京都市芸術新人賞を続けて受賞するという快挙を成し遂げました。

本展で出品される一連の風景画は、そうして培われてきた押江千衣子の独特の絵画世界のイメージを、一新させるものとなるでしょう。押江は、一昨年のヨーロッパ旅行をきっかけに新しい世界を模索し始めました。旅行中に目にし、通り過ぎた風景は、既に数点のドローイングのかたちで昨年の京都市芸術新人賞受賞作家展、西村画廊でのグループ展「SEPTEMBER 2002」で発表され、好評を得ています。モチーフの変化と同時に、押江は制作の手法も大きく変えました。かつての、植物を育てるのに似たペースでオイルパステルを少しずつ指で伸ばしてゆく手法に変って、油絵具と筆を用いることを始めたのです。

今回の個展には、そうして生み出された待望の油彩作品が登場します。200号の大作「干潟にて」をはじめ、広大な干潟のシリーズ、田舎を走る列車から眺める田園や木立を描いた「車窓より−田園」・「車窓より−絶唱」等の油彩作品8点と、教会の窓から射し込む光を描いた「ひかり」等のドローイング数点で構成されます。

現在、押江千衣子は東京都現代美術館での「MOTアニュアル2003 おだやかな日々」展に出品作家6人のひとりとして、ヨウシュヤマゴボウを描いた作品8点を出品しています。植物の成長のように、また車窓を流れる風景のように、とどまることのない押江千衣子の新しい展開にどうぞご期待下さい。なお、この展覧会に合わせて、押江千衣子初の作品集「目をすます」(求龍堂)が発行されます。